FUJII / Blog

放送、通信、防災を経て官民連携を考えるひと。

フィリピンでマンガ買い込んできた

海外に行く度に現地の本屋でマンガを買い込んでくるのですが、今回は初めてフィリピンに行ったので、セブで買ったマンガを自分のメモを兼ねて記録しておきます。
※本業は広告プランナーですが、学生時代はアジア地域のマンガ産業を研究していました。日本マンガ学会の購読会員も継続しています。

購入場所はAyala Shopping MallのNATIONAL BOOKSTORE。
http://www.nationalbookstore.com.ph/
セブでは一番大きい書店のはず。半分が文具、半分が書店で、英語の輸入書籍と現地書籍が半々といった印象。
現地の子たちは結構日本のマンガを知ってるのだけど、実際に売られているものはかなり限られているので、おそらく(合法なものかわからないけど)デジタルで読んでるのかなぁ。マンガはすべてシュリンクされていて立ち読みはできず、小学生から中学生ぐらいが手にとっている印象でした。

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タガログ語版「ドラえもんISSN 1908-3726  価格:60ペソ
版元:J LINE COMICS AND MARKETING 国際出版権エージェント:鹿島国際著作権事務所(Kashima Agency)
左開き、英語版をベースに書き文字は英語のまま。吹き出し内だけアメコミと同じフォントでタガログ語に置き換え。16話190ページ。製本、髪質はペーパーバックに近い感じ。

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英語/タガログ語版「ドラえもんISSN 2243-8092 価格:120ペソ
版元:J LINE COMICS AND MARKETING 国際出版権エージェント:鹿島国際著作権事務所(Kashima Agency)
左開き。こちらは日本で売っている英語学習用のドラえもんを元データに作成されている様子。コマの間隔を広げて、吹き出しの中は英語(教科書っぽいセリフ体)、コマの隙間にタガログ語を併記するスタイル(そのスペースを取るために特殊判型になってる)。フィリピン人の英語学習用に売ってるのかもしれない。


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ついでにコナンも買ってみました。こちらもJ LINE COMICSが版元で、2012年発行。75ペソ。英語版をベースにタガログ語訳したもの。

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BLACK INK SHORT CUTS 4 Another Beauty and the Beast ISSN 2244-2642 価格:69.75ペソ
版元:Precious Pages Corporation 2012年
https://www.facebook.com/pages/BLACK-INK-Comics/433825843352052
Facebookページで少し作品が読めます。

3アーティストによるアンソロジー。63ページ。
「白黒マンガ」というカテゴリが本屋に用意されていて、そこに並べられていた作品。BDっぽい比較的アーティスティックな雰囲気。
沢山売れる感じのものではないと思うけど、しっかりこういう作品を出していく出版社ができているのは素敵。

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LOVE in the BAG vol.1 ISBN 978-971-94036-0-9 価格:388ペソ
241ページ、英語、全編白黒日本風。13ページ描きおろし、と書いてあるので多分連載マンガの単行本。2008年から2回重版がかかっており3版。高校学園モノラブコメ。
Studio Studioというマンガ制作集団(プロフィールをみるに全員フィリピン人男性っぽい)がアメリカのスタジオ方式みたいな感じで制作(著者紹介で実写の写真が載っているのはちょっと不思議)。13歳以上推奨の表記あり。
https://www.facebook.com/loveisinthebag
コマ割りや画風はあずまんが大王っぽいかも。ただしオノマトペはほとんど使われていない。主人公の男性がバスケ部で、バスケのシーンだけ某バスケマンガを研究したと思われる表現が出てくる。フィリピンなので学園モノとはいえ冬服がなく、季節感がないので時間進行がよくわからない。水着シーンが必然的に多め。

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manga Jam
A5サイズ76ページ程度のフルカラー雑誌。 Yonzon Entertainment Syndicate Inc. 価格:90ペソ
ISBN、といいつつ8桁のISSNっぽい番号が書いてあり、書籍扱いなのか雑誌扱いなのかはよくわからない。
定期購読推奨っぽい。小学生〜中学生ぐらいと思われる読者がいっぱい載ってる。Yonzonという苗字のひとがマンガ家、発行人、マーケティング担当で3人いるので、おそらく家族経営なのだと思われる。
http://www.mangocomics.com/jam
数本の連載マンガはアメコミ風の画風だけどコマ割りは日本式。表2にエプソンの広告が入ってる。


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OtakuZine
http://www.facebook.com/otakuzineanimemangazine
http://www.otakuzine-mag.com
発行元:PSICOM Publishing Inc. 95〜100ペソ
雑誌扱い。A5フルカラー、A4サイズの増刊号など精力的なラインナップ。アニメージュのフィリピン版みたいな内容。ポスターが付録でついていたり、おそらくグラビア印刷されたアニメ絵が欲しいというニーズに応えている、生粋のアニメオタク向けな雑誌。
内容は徹底的に新作アニメのレビュー。日本でもこんなに充実したレビューあるか?というほど、(日本で)放送中のアニメがほぼ網羅されている。シュタゲの特集では「OVAでは鳳凰院凶真の変な英語が見どころ」とか細かいことが書いてあるので、おそらく全部観て書いてる感じ。しっかり権利元から素材を借りているようで、クレジットもしっかり入ってる。途中に「OtakuZineを全号もってる読者からのコレクション自慢写真」のページがあるところが微笑ましい(たぶん高校生ぐらいっぽい子が写ってる)。表2、表3は日清食品のインスタント焼きそばの広告。
10人ぐらいで編集してるようなので、相当頑張ってるなぁという印象。途中すこし紹介されているマンガは英語版の素材を使っているけど、アニメの解説では日本語声優名まで書いてあるので、読者は日本語に関心があるんだろうなぁと思われる。広告の入っていない表4に「日本語を勉強しよう」みたいな記載あり。


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new moon vol.1 Stephenie Meyer 599ペソ(19.99 US$)
なぜか平積みになっていた、アメリカ発行のコミック単行本。白黒かとおもいきやわざわざ全ページカラー印刷されていて、時々唐突に色が使われている、というかなり珍しい作り。アーティスティックな感じのアメコミ。
どうしてフィリピンで人気が出たのかしら。上製本でかなりずっしりしています。だれかこの作者に詳しい方、詳細教えてください。

まだ全部読んでませんが、とりあえず、書誌情報を中心にメモでした。
小学館は相変わらずアジアでの版権ビジネス頑張ってるなぁ、という印象。ディズニー映画のDVDですら300円ぐらいで(正規品らしきものが)売られている国なので利益を出すのは大変そうですが、英語かタガログ語か、どちらで出すかで対象年齢とマーケットがちょっと変わる難しい国なので、多言語エリアへの進出の試金石として頑張っていただきたいです。