FUJII / Blog

放送、通信、防災を経て官民連携を考えるひと。

もしIT企業勤務の小僧が老舗クラブハウスの店長になったら、というたとえ話

ちょっと乱暴なたとえ話ですが、例えば、として・・・

仮にあなたが、突然クラブハウスの店長になったとします。

その店は90年代にはカリスマDJが毎夜超絶テクを繰り広げていると評判で、毎日深夜まで盛り上がっていました。

その後時代は流れ、そのクラブは客入りが少しずつ減ってきました。カリスマDJが引退し、音楽シーンは落ち込みを見せ、客層も変わってきて、朝まで踊り明かすこともなく、ちょっと冷やかしに来ただけで帰ってしまう。

これはおかしいぞと、チラシを配ってみたり、ウェブサイトを作ってみたり、看板をかえてみたり、いっそインターネットで動画中継してみよう!とか、いろいろやってみるんだけど、なかなか売上は伸びない。いまもイケてるDJはいるんだけど、どうも知名度がない気がする。

時代の流れにあわせてVJ機器も入れてみた。かっこいいけど、結構使いこなすのが大変だし、ギャラもかかる。

客単価をあげようとフードを強化したり、グッズを作ってみたりもしたけど、いまひとつ。ネットでも売ってみたけど、そうそう簡単には売れない。

日本の音楽業界は死んだんだ!とか、風営法が悪いんだ!とか、いろいろ外的要因に目を向けたくもなる。常連のお客さんからは「おい、オーナー、がんばれよ」と励まされるけど、この人達はそろそろ子どもも出来て夜遊びしなくなるだろうし、新しいお客さんが来ないと、ジリ貧だよなぁ。隣の店は、オーナーが変わったらしい。異業種の社長に買収されたらしいけど、どうなるんだろ。建築関係の会社らしくて、建物は立派になったけど。

そんな中店長が突然病に倒れ、あなたがなりゆきで店長を任されることになったとします。

クラブはそもそも自分が大学生の頃には周囲にそういうカルチャーがなくて、行ったことがありません。なんか閉鎖的で入りにくい門構えだし、そもそも夜は仕事してるか寝てるかで、夜遊び自体しない。

最近作ったらしいチラシをみてみたけど、DOOR ¥0000 +1DRINKとか、分かる人にはわかるんだろうけど、楽しみ方がまずよくわからない。これはクラブ初心者のお客さん向けと上級者向けで、言い方を変えたほうがいいのかもしれない。誰もそんなこと考えたことない気がするけど。

ウェブサイトはPCサイトで、夜出歩いてる人はみにくいだろうし、イケてるデザイナーが作ったらしいマップは抽象的すぎてわからない。Googleマップに張り替えておくか…

チケットの販売経路がよくわからないので、友人経由で買った人と、ネットで買ってくれた人と、当日券の人と、分けてみる。知り合いの店に頼んで置いてもらったチケットには、ちょっとだけおまけをつけてみよう。

物販は確かに大事だけど、はじめてのお客さんが買うはずないから、常連さん向けのグッズに絞ってみる。常連さん向けにSNSで告知してみたら、そこそこ売れるようになった。現金で売っていたけど、Squareを導入したらカードでオトナ買いしてくれた常連さんがいた。人件費がかかるしロスも痛いからフードは撤収。代わりにプロモーションを兼ねて洋酒のメーカーさんにイベントをやってもらってその日はエントランス無料にしたら、そこそこの客入りだった。そうか、そういう商売のやり方もあったか。

VJは金がかかって無理、という店もあるけど、うちの店は特色として残してみようかな。オンラインで見られる仕組みはビジネスモデルが難しいし、それってクラブの良さが伝わってるのかなぁ?と思うけど、課金モデルを定額制にしてみたり、コンテンツを欲張らずにちょっと割り切ってやってみれば、続ける価値はあるかもしれない。でも解約をどうしたら減らせるかとか、知らないことがまだまだ多いな…

思い切って、オールナイトの営業日は減らしてみたらどうだろう。でもそれはクラブじゃなくなっちゃうのかな…そもそも、クラブって何なんだろう。人は何をしにここに来るんだろう。音楽を聞くため?いや、孤独を癒やしに来てるんじゃないのかな…



直接的なことを書くと生々しいので、まわりくどい話をしましたが、「クラブハウス」というところを「ラジオ」に置き換えると、だいたいそんな感じかなぁ、と思います。
興行と広告業を一緒くたにすることにはかなり無理はありますが、大枠の話として。