FUJII / Blog

ラジオとソーシャルメディアのあいだに。

PS Vitaと青少年アクセス制限問題

PS Vitaを購入して、ご多分に漏れずフリーズしたりして色々四苦八苦していますが、今回書きたいのはゲームの話ではなくて、インターネット機能の話です。

Vitaフィルタリングのしくみ

3Gモデルのdocomo SIMがフィルタリングサービスに原則加入になっていて、ほとんどの掲示板・コミュニティ機能のあるサイトにアクセス出来ない件については、説明があまりにも足りないこともあって大混乱を招いていたように見受けましたが、私自身はWi-Fiモデルを購入していたので、以下誤りがあったらご指摘いただけると幸いです。

あちこちの解説にあるとおり、このフィルタリングは法律に基づくdocomo側の設定によるもので、購入時に年齢確認ができていないので原則加入ということになります。Vitaが導入を推奨している、Wi-Fi/3Gともに利用できるデバイス側のフィルタリングソフト(http://www.jp.playstation.com/psn/filtering/)とは無関係です。しかしdocomoのページ、説明わかりにくい。

このフィルタリングはspモードフィルタとおそらく同等のもので、「docomoと無関係な第三者企業が機械的にサイトを系統分類したデータに基づいて」「不法、主張、アダルト、出会い、グロテスク、セキュリティ、ギャンブル、コミュニケーション、成人嗜好、オカルト」カテゴリをNGに+「コミュニティサイトのうち、EMA認定がとれているものを除きすべてNG」とするものです。

この「コミュニティサイト」という定義が非常に面倒で、通信の内容は秘密を守らなければならないので、形式的に、掲示板的な投稿機能があるものはすべてひっかかってしまいます。ブログもだめ。というわけで、大手ニュースサイトも一部を除いて一斉にはじかれてしまい、ちょっとした騒ぎになった次第です。

…あれ、そういえばPSNのフレンド機能とかみんいつとかVita標準搭載のFB連携機能とかはコミュニティサービスじゃないの?というのはちょっと気になりますが…。

EMAの役割

ただ、それではあまりにもアレなので、コンテンツ業界の自助努力でEMA(モバイルコンテンツ審査・運用監視機構)という第三者機関がつくられていて、ここに「サイトの運用監視をしっかりやっている」と査定をしてもらって、各キャリアはホワイトリストとして認定サイトを個別に穴あけする、という作業をしています(ガラケー、スマフォ、PS Vitaで共通)。私自身、前職で運営していた中高生向けの深夜ラジオ番組連動のWebサービスが突然フィルタリング対象となって猛烈なクレームを受けたところから突貫でEMAを取得するという作業をしたことがあって、そのときに、この制度の仕組みの「いまできる最善の策だけど限界はあるよね」感にずっと悩まされてきました。この審査はわりとコストもかかり(二重にサイトを監視することになるので当然であって、誰か天下りで儲けている人がいるわけではないです)、いまだに32サイトしか取得できていません。…たった32サイト!認定通過率は66%。

いちおう、この32サイトののべ会員数は1億人を超え、業界内のカバー率はそれなり、ということになっていますが、正直言って、この32サイトだけが見えるケータイってどうなの?とは私も思っています。mixiGREEMobage、Hangameはかなりのコストを割いてEMA取得をしていますが、当然こんな日本のローカルルールにTwitterFacebookが対応してくれるはずもなく。とはいえこれしか今のところ、警察や一部の「子どもにケータイ持たせなきゃいい」的な条例を制定している地方自治体の規制強化の動きに抵抗する方法はこれしかないので、中高生のケータイからアクセス出来ない、ということがどれだけの営業損失になるか、ということを説いて回っているのですが、なかなか理解が広がらない。

今回、ゲーム機という非常にわかりやすい「子どもがもつ」というシーンがわかりやすいデバイスに、はじめて標準でSIMが載ったことで(Wi-Fiだけだとこういう話にはならない)、一層このあたりの議論が深まればいいなぁ、と願っているのですが、当事者であるdocomoとSCEがあまりこの件について細かい情報提供をしている気配がないので、やっぱり根本的な解決のないままになってしまうのかもしれません。
ちなみにSoftBank iPhoneの場合、孫さんがうめけん君を念頭において「中高生がツイッターを使えないとかありえない」と一昨年あたり吠えていたのがおそらくきっかけとなって、「ウェブ利用制限(弱)」という曖昧なサービスをひねり出していて、TwitterFacebookSoftBankがお墨付きを与えたそれらの連携アプリは「例外」として使えるようにする、という強引な荒業を繰り出しています。

逃げずに「厨房の砂場」をつくるしかない

…だいぶ頭痛い感じの現状の整理をした所で話を戻すと、ポケモン以来携帯ゲーム機に与えられた「子ども同士のコミュニケーションの手段」という役割は、そんなもん使わないと友だちがつくれないのか!そのへん走りまわって草野球でもやってろ!とか言っている場合ではなく、マンガも深夜ラジオもクラスの共通の話題ではなくなってしまった今、わりともうしばらくの間は、彼らをつなぐ役割を担い続けるんじゃないかと思っています。

子どもの遊び道具が完全にスマホに移行したら再び混沌の時代がやってくるのだろうけど…。比較的コントロールがしやすいゲーム機というデバイスにインターネットが入ってきたいまのタイミングで、うまいデザインをしてあげれば、子どもたちに「大怪我しないて程度にヤケドしてネットの安全な利用方法を覚える」砂場遊びの場が作ってあげられると思うんですが。

いきなりPCとケータイがネットにつながった酒鬼薔薇聖斗世代の私達(筆者は1983年生まれです)は、おっかなびっくりネットデビューした時しながら、厨房とか2chで罵られつつ、痛い思いをしながらネットのいろんなリスクやマナーを学んできました。けれども当時に比べて、ネットはずっと公共性が高まって炎上リスクも増しています。いきなりTwitterとか使い始める小中学生を見ていると、高校の情報科教員免許を取ったりしている私は本当にハラハラするので、なんとかしてあげたい、と悩む日々です。


EMAの件だけでだいぶ長々書いてしまったので、ネットデバイスとしてのVitaに関する話題としてPodcastについて書きたいとおもったのが本題だったのですが、それは別の日に改めて。