FUJII / Blog

放送、通信、防災を経て官民連携を考えるひと。

地元の印刷屋さんで活版印刷の名刺を作った

旅行に行く時には必ず、連絡先を気軽に交換できるように個人名刺を持っていくのですが、プリンタを持っていないのでいつも、ハンコでその場しのぎの名刺を作っていました。

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Shiny Handy Stamp S-773というスタンプなんですが、e-mailとかFacebookとかのスタンプも用意されていて、自分で組んで押せるタイプです。便利だし可愛いんですが、大量に作るのには向きません。あと、小文字がない。

というわけで、思い立って検索してみたところ、自宅から徒歩圏に、今も活字を組んで活版印刷をやってくれる印刷屋さんがあることに気づきました。

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http://www.hiratainsatsu.com/
平田印刷
〒154-0002 東京都目黒区鷹番3-20-2
TEL: 03-3714-0641 FAX: 03-3714-0943


日本

思い切って玄関をあけると、ちいさな事務所に柔和な感じのおじちゃんとおばちゃん、息子さんがいらっしゃいます。(恥ずかしがって顔は撮らせてもらえませんでした)

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お茶を出してくれて、「いやぁ、たぶん来週までは営業してると思いますけど、いつ潰れるかわからないからね!」と笑いながら、さくさくと要望を聞いてくれました。

いま持っている名刺を見せながら意図を伝えると、じゃぁとりあえず組んでみますね、あっさりとオーダー終了。校正は3日後ぐらい、校了してから印刷が上がるまで中一日といったところ。
100枚5000円、200枚目以降は3500円/100枚だそうです。

仕上がりがこちら。

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※一部レタッチして個人情報消しています
活版らしい綺麗な書体に、少し押した感じの風合いが素敵です。
紙の持ち込みもOKだそう。ぼくはシンプルな名刺が好きなので今回は活字だけで組んでもらいましたが、樹脂板を作ることで、ロゴや記号なども対応できるそうです。Illustratorで入稿して樹脂板に起こしてもらって印刷、という案件も多いそう。

実は某有名人もオーダーしている(作業中の紙の中に見つけてしまいました)、平田印刷。
気軽にお願いできるので、平日の昼間しかやってませんが、ぜひ一度お店を訪ねてみて、おじちゃんと話をしてみてもらえると、とりこになると思います。今度は年賀状もオーダーしてみようかな。

フィリピンでマンガ買い込んできた

海外に行く度に現地の本屋でマンガを買い込んでくるのですが、今回は初めてフィリピンに行ったので、セブで買ったマンガを自分のメモを兼ねて記録しておきます。
※本業は広告プランナーですが、学生時代はアジア地域のマンガ産業を研究していました。日本マンガ学会の購読会員も継続しています。

購入場所はAyala Shopping MallのNATIONAL BOOKSTORE。
http://www.nationalbookstore.com.ph/
セブでは一番大きい書店のはず。半分が文具、半分が書店で、英語の輸入書籍と現地書籍が半々といった印象。
現地の子たちは結構日本のマンガを知ってるのだけど、実際に売られているものはかなり限られているので、おそらく(合法なものかわからないけど)デジタルで読んでるのかなぁ。マンガはすべてシュリンクされていて立ち読みはできず、小学生から中学生ぐらいが手にとっている印象でした。

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タガログ語版「ドラえもんISSN 1908-3726  価格:60ペソ
版元:J LINE COMICS AND MARKETING 国際出版権エージェント:鹿島国際著作権事務所(Kashima Agency)
左開き、英語版をベースに書き文字は英語のまま。吹き出し内だけアメコミと同じフォントでタガログ語に置き換え。16話190ページ。製本、髪質はペーパーバックに近い感じ。

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英語/タガログ語版「ドラえもんISSN 2243-8092 価格:120ペソ
版元:J LINE COMICS AND MARKETING 国際出版権エージェント:鹿島国際著作権事務所(Kashima Agency)
左開き。こちらは日本で売っている英語学習用のドラえもんを元データに作成されている様子。コマの間隔を広げて、吹き出しの中は英語(教科書っぽいセリフ体)、コマの隙間にタガログ語を併記するスタイル(そのスペースを取るために特殊判型になってる)。フィリピン人の英語学習用に売ってるのかもしれない。


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ついでにコナンも買ってみました。こちらもJ LINE COMICSが版元で、2012年発行。75ペソ。英語版をベースにタガログ語訳したもの。

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BLACK INK SHORT CUTS 4 Another Beauty and the Beast ISSN 2244-2642 価格:69.75ペソ
版元:Precious Pages Corporation 2012年
https://www.facebook.com/pages/BLACK-INK-Comics/433825843352052
Facebookページで少し作品が読めます。

3アーティストによるアンソロジー。63ページ。
「白黒マンガ」というカテゴリが本屋に用意されていて、そこに並べられていた作品。BDっぽい比較的アーティスティックな雰囲気。
沢山売れる感じのものではないと思うけど、しっかりこういう作品を出していく出版社ができているのは素敵。

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LOVE in the BAG vol.1 ISBN 978-971-94036-0-9 価格:388ペソ
241ページ、英語、全編白黒日本風。13ページ描きおろし、と書いてあるので多分連載マンガの単行本。2008年から2回重版がかかっており3版。高校学園モノラブコメ。
Studio Studioというマンガ制作集団(プロフィールをみるに全員フィリピン人男性っぽい)がアメリカのスタジオ方式みたいな感じで制作(著者紹介で実写の写真が載っているのはちょっと不思議)。13歳以上推奨の表記あり。
https://www.facebook.com/loveisinthebag
コマ割りや画風はあずまんが大王っぽいかも。ただしオノマトペはほとんど使われていない。主人公の男性がバスケ部で、バスケのシーンだけ某バスケマンガを研究したと思われる表現が出てくる。フィリピンなので学園モノとはいえ冬服がなく、季節感がないので時間進行がよくわからない。水着シーンが必然的に多め。

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manga Jam
A5サイズ76ページ程度のフルカラー雑誌。 Yonzon Entertainment Syndicate Inc. 価格:90ペソ
ISBN、といいつつ8桁のISSNっぽい番号が書いてあり、書籍扱いなのか雑誌扱いなのかはよくわからない。
定期購読推奨っぽい。小学生〜中学生ぐらいと思われる読者がいっぱい載ってる。Yonzonという苗字のひとがマンガ家、発行人、マーケティング担当で3人いるので、おそらく家族経営なのだと思われる。
http://www.mangocomics.com/jam
数本の連載マンガはアメコミ風の画風だけどコマ割りは日本式。表2にエプソンの広告が入ってる。


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OtakuZine
http://www.facebook.com/otakuzineanimemangazine
http://www.otakuzine-mag.com
発行元:PSICOM Publishing Inc. 95〜100ペソ
雑誌扱い。A5フルカラー、A4サイズの増刊号など精力的なラインナップ。アニメージュのフィリピン版みたいな内容。ポスターが付録でついていたり、おそらくグラビア印刷されたアニメ絵が欲しいというニーズに応えている、生粋のアニメオタク向けな雑誌。
内容は徹底的に新作アニメのレビュー。日本でもこんなに充実したレビューあるか?というほど、(日本で)放送中のアニメがほぼ網羅されている。シュタゲの特集では「OVAでは鳳凰院凶真の変な英語が見どころ」とか細かいことが書いてあるので、おそらく全部観て書いてる感じ。しっかり権利元から素材を借りているようで、クレジットもしっかり入ってる。途中に「OtakuZineを全号もってる読者からのコレクション自慢写真」のページがあるところが微笑ましい(たぶん高校生ぐらいっぽい子が写ってる)。表2、表3は日清食品のインスタント焼きそばの広告。
10人ぐらいで編集してるようなので、相当頑張ってるなぁという印象。途中すこし紹介されているマンガは英語版の素材を使っているけど、アニメの解説では日本語声優名まで書いてあるので、読者は日本語に関心があるんだろうなぁと思われる。広告の入っていない表4に「日本語を勉強しよう」みたいな記載あり。


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new moon vol.1 Stephenie Meyer 599ペソ(19.99 US$)
なぜか平積みになっていた、アメリカ発行のコミック単行本。白黒かとおもいきやわざわざ全ページカラー印刷されていて、時々唐突に色が使われている、というかなり珍しい作り。アーティスティックな感じのアメコミ。
どうしてフィリピンで人気が出たのかしら。上製本でかなりずっしりしています。だれかこの作者に詳しい方、詳細教えてください。

まだ全部読んでませんが、とりあえず、書誌情報を中心にメモでした。
小学館は相変わらずアジアでの版権ビジネス頑張ってるなぁ、という印象。ディズニー映画のDVDですら300円ぐらいで(正規品らしきものが)売られている国なので利益を出すのは大変そうですが、英語かタガログ語か、どちらで出すかで対象年齢とマーケットがちょっと変わる難しい国なので、多言語エリアへの進出の試金石として頑張っていただきたいです。

2012年のふりかえりと2013年

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あけましておめでとうございます。藤井です。
年2回更新ぐらいで推移してしまっていますが、今年もまとまった文章を思い出した頃に書きたいと思いますので、よろしくお願い致します。

2012年前半は、新たな職場で引き続きソーシャルラジオやソーシャル×放送施策について頑張りました。広告賞を頂く機会にもあずかり、故郷のラジオ局にも少しは恩返しができたかと、ほっとしています。
2012年後半に頑張っていたO2O施策については、技術評論社さんに起稿させていただく機会をいただいたので、そちらをご参照いただければと思います。

個人的にはイベントやSPツールの制作経験も細々と前職/前々職にあったので、それをつぎはぎしながらなんとかこしらえた企画でしたが、記事の公開後、「入店」は店員が使う言葉でお客様は「来店」が正しい、など、小売業の知識が私にまだまだ足りないことを痛感するご指摘もいただいています。一営業マンの観点から、状況を俯瞰できるような記事をと思い執筆しましたが、ご指摘をもとに、さらに業界全体でナレッジの共有がどうしたらスムースに進むか、考えていければと思っています。

私個人として今後やっていく方向性も、なんとなく見えてきたような気がします。放送、イベント、店舗、SNS、いろいろなことに関わらせていただいていますが、結局、直接お客様とコミュニケーションをとる喜びを、もっとたくさんの人たちと分かち合いたいのだなぁというところに行き着いたのが2012年でした。今年はそれをどんな方法で実現すれば一層新しい価値を世の中にご提供できるのか、まだまだ見えないことも多いですが、トライしていきます。

見た目に反して若輩者です、と言い続けて来ましたが、いよいよ今年は30代に突入します。仕事もプライベートもそろそろ一定の形をつけなければなりませんが、どちらもまだまだ精進が足りないようです…

石巻をみてきた

f:id:gleam:20120428185024j:plain:rightこの連休、東北に向かっている人も多いと思うのですが、僕も4/28-29の二日間に、突貫で行ってきました。
思い立ったのが1週間前で、宿も電車もまったく取れていない状態で上野駅へ。スマホがなかったら死んでた気がする。
去年の3.11のときには僕はまだラジオ局員で、スタジオの中で必死に東北の状況を追いかけていました。周囲のスタッフは技術支援とか取材とか公開放送とか、頻繁に現地に向かっていたんだけど、僕自身はウェブ担当という立場でもあり、行く機会を失っていました。今はIT企業にいるので、特段業務を帯びているわけでもなく、観光として行ってきたのですが、思うところもいろいろあったので、以下、下手な旅行記といまいちな写真ブログとうさんくさい報道批評のどれでもない感じの文章になることを覚悟しながら、メモ。

なお、文中の写真をふくめ、撮影したものはflickrにCC-BYでアップしているので、企画書とかに使いたい方はどうぞ。
http://www.flickr.com/photos/gleam_df/sets/72157629561444604/

仙台までは新幹線で移動し(行きはタッチの差ではやぶさのチケットがとれず悔しかったので帰りは絶対乗ろうと心に誓った)、仙台で一泊。とりあえず牛たんを食べたり(Twitterで太助分店 http://www.tasukebunten.com/ を教えて頂き、GWなのにガラ空きで悠々堪能してきました)、ベタに青葉城跡に行ったり。

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市内はもう震災の爪痕は感じない状態だなぁ、と思っていたら、青葉城跡はあちこち道がふさがっていたり、鳳凰の塔がまるごと落っこちたりしたまま。駅から青葉城に向かうバスの途中で東北放送本社に通りがかり(仙台の放送局って、送信所の真下に演奏所があるパターンが多いんですね)、この送信所は無事でよかったと思う。ラテ兼営局なので、当時は燃料不足でかなり大変だったと聞くけれども。東京はほとんどの放送局が同じ場所に送信所を持っているので、被災したら大変だな…。スカイツリーに移転しても東京タワーのバックアップ機能としての重要性には変わりない。

カプセルホテルまで満室で宿があまりにも確保できないので、現地のバーに飛び込んで情報収集。いつものカバンだけの軽装だったのだけど、バーテンさんには「仙台のひとじゃないですね?」とすぐ気づかれる。「いや、今日宿がないのはまずいでしょう…」と突っ込まれつつ、去年のことをきくと、「一週間後にはもう営業再開してましたよ、水と電気があればできるので」と。東京で同じ規模の地震があっても、そうできるものなんだろうか。

なんとか確保できたホテルは未だに震災対策を真剣にやっていて、トイレに非常用水が貯め置きしてあったりした。これは東京のホテルも見習うべきかもしれない。

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翌日は早起きして、仙台駅からミヤコーバスで石巻へ。女川まで行ってみたかったけれども、そこまで行ってしまうと日帰りが厳しいので断念。JRはまだ復旧していない区間が多いけれども、平日は大回りして直通電車を出しているらしい。休日は使えない。ミヤコーバスは30分おきぐらいに頻繁にバスを出しているけど、補助席まで使って僕はぎりぎり乗れたものの、5人ほどバス停に積み残された模様。予約制ではないので、GW後半にこれに乗るつもりの人は、なるべく早く乗り場にいたほうがいい。往復1500円。

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石巻駅は駅舎は完全な状態だけど、駅周囲の道の凹凸がすごい。不思議なことに、完全に使用不能になっている建物と、外見上はほぼ無傷の建物が交互に立っていたりして、復興に向けて足並みを揃えることの難しさを感じる。
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駅舎には「ここまで津波がきました」という標識がついていた。このあともこの類の標識はあちこちで目にすることになる。サイボーグ009や仮面ライダーの像があちこちに立っていて、これに導かれながら石ノ森萬画館に向かうことにする。

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そういえば駅前のデパートが撤退後に市に寄付されて、そのまま市役所として活用され始めたのが2010年のことだったらしい。比較的浸水被害の少なかった駅前で、これだけしっかりとしていて規模もある建物が司令塔になったことは、偶然の救いだったんじゃないだろうか。いや、仮面ライダーに守られたのか。

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ラジオ石巻は日曜日だったので残念ながら無人。市役所と目と鼻の先という好立地で、かつ3階にあって浸水を免れたのは良かったと思う。コミュニティFM局って街の活性化に役立てようと、どうしても大通りに面したところに公開スタジオを作りがちなんだけど、津波被害の可能性がある場所では鉄筋コンクリート造のビルの中層階に作らないとだめだな、と痛感する。ラジオ石巻の本が出ているらしいのだが、無人だったので購入できず。

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GWで事務局自体がお休みなので、この期間中は個人のボランティアは受け入れられていないのだけど、自律的に活動できる団体は動いているようで、消防団の人たちが生協の跡地(というか、建物だけが無事で中は完全に被災してがらんどう)で子ども向けのシャボン玉ショーをしていた。延々、その模様がほとんどの店舗があいていない商店街の放送で流れていて、「音声だけなのに様子がさっぱりわかんねえ!」と気になりすぎて見に行ったのだけど、現地の子供達が楽しんでいたので、ちょっと邪魔したくないな、と退散。

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他にも外国人のボランティアチームが個人宅の清掃をしていたり、Peace Boatの人たちが花を植えたり(唐揚げ弁当を食べながら「せぼーん」って言っていたのでフランス人だったのだろうと思う)、5/4-5に開く鯉のぼりのイベントの準備をしているのをみかける。神社の境内でもささやかなお祭りをやっていた。
個人的には本人の純然たる善意でやっていても、パブリシティっぽくなってしまう芸能人の慰問イベントみたいなものは現地の人達にはどういう風に見えているのだろう、とずっと思っていたのだけど、経済活動が止まってしまっている街には、何か祭りがないとコミュニティが維持しにくくなってくるのかもしれないなぁ…と思いつつ。

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石巻駅前の観光センター前で石巻焼きそばをつくっていたので買ってmgmgしていたら、明るいおじさんが「俺ね、今度の仙台のマラソンでも出店やるから来てよー」と仙台から来たカップル(そう、カップルの観光客がすごく多かった)に話してる。mgmgしながら聴いていると、続けて「…俺、これ本業じゃないんだけどさ、他にやることなくなっちゃったからさー」と。mgmg......

中学校の時、修学旅行で広島に行ったけど、語り部さんの広島原爆の話を聴きながら、「毎日毎日、この話を繰り返すことでこの人の心は傷つかないんだろうか、忘れたい気持ちと、忘れられたくない気持ちと、どっちのほうが大きんだろう」という疑問をずっと持っていたのだけど、そういう次元の問題ではなかったのかも。さっき見ていたテレビ番組でも被災地を観光(といっていいのだろうか?)案内している被災者が「継続的に来てもらえるコンテンツを用意しないといけない」とインタビューに答えていて、「コンテンツ」という言葉を使っていることに衝撃を受けた。でも、コンテンツの力で眼差しが集まって状況が改善するのなら、という、こういう自体ならではの割り切り方なのか。このあたりはマスコミの功罪と言える部分ばかりをこれまで気にしていたのだけど、なにかしら「役割」がないと人間は生きていけない、という現実もあったり、余計に複雑な心境になった。

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まんが研究を学生時代にしていたので、わりとあちこちの「マンガでまちおこし」みたいなところには行っていたのだけど、石ノ森萬画館は来る機会がなく、残念ながら被災前の様子を僕はよく知りません。萬の字がここに戻ったら、また来よう。復旧のための予算が市議会でついたとのこと。水産資源のほかに観光資源を育ててきた石巻の戦略は正しかったと思う。

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藤岡弘、さんをはじめ、いろいろとサインが。宮川賢、と読めるサインも隣の柱に。

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萬画館の周囲は金属の手すりや柱も全部ひん曲がってる。津波のパワーって本当に恐ろしい。

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避難所になっていた学校。石碑が立っていた。一階部分はベニヤ板で仮囲いされているのだけど、

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先に復旧したらしい体育館は、選挙の掲示板に使う合板が使われていた。こんな状況で去年選挙が実施されたのは、今思うと本当にわけがわからない。

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テレビでも何度も映された、海沿いから流されてきた巨大タンク。タクシーで観光客をここに案内しているドライバーさんもいた。この周囲の幹線道路は完全復旧していて、タンクだけが中央分離帯にぽつんと残っていました。このすぐ裏はがれき置き場で、莫大な量が野積みになっています。漁業用の網、プラスチックの桶などは整然とすでに分類されて積まれていて、それ以外の発火する可能性のある瓦礫は、ガス抜きのためのパイプが無数に突き刺した状態で山に。どれも限りある私有地で、日常生活のすぐとなり。公共事業としてがれき受け入れを民間企業に委託した形にしてあるみたいだったけど、精神的な負担感は本当に大きいな、と思う。

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漁港の周辺は本当に根こそぎ建物がなくなっていて、ぼくが食事をするつもりだった寿司屋もなくなっていました。そんな中にぽつんと立つ電波塔。携帯電話の中継局とおもわれるけど、きっちり蓄電池もついていて、この一帯をこれで広域カバーして復旧したっぽい。確かに石巻にいる間、一度も携帯の電波は圏外にならなかった。震災直後、海底ケーブルまで切れてしまって東京にいた僕らも一部のサービスが停止したり、少なくない影響を受けたのだけど、その後のとてつもないスピードでの復旧を思い出した。しかしこの周囲がこの街の最も賑わいのある場所だったはずなんだけど、いまは誰もいない。産業と雇用を失った街を、ここにもう一度復活させるには、途方も無い資本が必要だな…。

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ここにも津波到達地点標識。この高さまで津波がくることを想像して避難するのは本当に難しい。

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どうしても石巻では海産物が食べたかったので、竹ノ浦さんで海鮮丼を。うまいです。

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仮設商店街は中小機構が助成しているみたい。駐車場だったところにプレハブテナントを並べて、しっかりとしたトイレもあった(かなりきれい)。日本企業のほとんどは中小企業。復興庁の話題は日々ニュースで見るけど、中小企業庁とか中小機構の話は殆ど目にしない気がする。なんでだろう…?

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バスで仙台に戻る。仙台でもう一度牛たんを食べ(よく考えると牛たんそのものは輸入肉なのでどうして仙台名物なのかよくわからなかったりするのだけど)、ひたすら東北の物を買いまくって新幹線へ。

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帰りははやぶさグランクラスで。JALのクラスJよりもハイグレード、ビジネスクラスまではいかない、ぐらいのシートで、リクライニングはかなり良い感じ。コーヒー飲もうとドヤ顔でVIEWカードの新幹線コーヒー割引券を提示したら、「そちらのクーポンもご利用頂けますが、グランクラスではお飲み物と軽食は無料でご用意しております」といわれる。「そちらもご利用頂けますが…」と前置きしたアテンダントさんの機転でちょっと救われたけど、恥ずかしい思いをした。軽食は和軽食と洋軽食が用意されていて、和のほうは日本酒(これも無料)のアテになりそうなものがいくつか入れてあって良い感じ。コンセントもついているので、ケータイを充電しながら津田マガを読んだり、行けなかったニコニコ超会議のことを調べているうちにあっという間に関東へ。途中駅、大宮しか止まらないからね…。すんごい早い。快適だったんだけど、食事中に「トイレはセンサー式の水洗です、SOSボタンを押しても水は出ません」というアナウンスが何度も流れたのは何だったんだろう…。ほかにも「自由席からグランクラスのご見学はご遠慮ください」とか、ものすごく長い規定文のアナウンスを、たどたどしく読み上げる車掌さんに同情しているうちに東京についた。

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JR東日本の「つなげよう日本」のCM、よかったよね…。



一泊二日でも行ける東北。GW後半に行かれる方、お気をつけて。歩きやすい靴で!